憂鬱

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「亮君、またな」 不意に肩を叩かれてドキッとした。振り返ると 健志さん……と…… 隣には女の子かと見間違う程の、可愛らしい男の子がそこには居た。 「……あぁ…また」 短くそう答えると、俺は先程まで全く興味が無かったはずの女の方を向いて、急に話を始めた。 彼等に早く俺の視界から消えて欲しかったし、これ以上健志さんと言葉を交わしたくは無かった…… 必要以上に彼を避けてしまったのは、先程の件も有ったのだが…… 彼の隣に居た、おそらく恋人だと予想される男の子に、俺は激しく嫉妬していた。 『大人になったら相手してやるよ』 彼の甘くて低い声が耳に残って離れない。 大人になったら…… ……あの場所は俺の物になるのか? 余りにもくだらない発想に、苦笑いをする。 手に入れてどうするというんだろう? 相手は男だ。 例え手に入っても…… 俺の生活が全て変わってしまう。そんなリスクは要らないよな。
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