憂鬱

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「亮とは恋人は無理だけど、いい友人にはなれそうな気がする。勿論今度からはH無しで。体を重ねてもお互い寂しくなるだけでしょ?」 「……そうだな」 「じゃあ、暇だったら連絡してね」 始発電車を待つホームで連絡先を交換し、俺達はまた繰り返される日常へと戻ってゆく。 いつもなら一夜限りの女とは、連絡先など交換しないのだが、彼女とはゲームというよりは、友人として付き合ってみたい……俺は去って行くエリの背中を見ながら、何故かそう思った。 寝た上でそう思える女は初めてだった。 友人としての始まりには、向かない出会いだったな…… 俺は苦笑いをして電車に乗り込んだ。 自宅へ戻り、熱いシャワーを浴びると、俺の中のざわついた感情も水と一緒に流されてしまい……少しは消えたような気がした。 もう二度と会わなければ…この想いに蓋をする事が出来るだろう。 冷静さを取り戻した俺は、準備を手早く済ませて会社へ向かう。 またつまらない一日の始まりだ。 俺は何の為に働き、誰の為に生きているんだろう?
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