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「亮、今夜暇か?」
週末の夕方に突然兄貴からの連絡。
いつものお節介がまた始まるのかと思うと、途端に憂鬱になった。
そもそも、俺がこうして苦しんでいるのは兄貴のお節介のせいだろ……
「悪いが、お節介なら間に合ってるから。」
断って電話を切ろうとした俺を、兄貴は慌てて止めた。
「健志が三人で飲みたいってさ……」
最後の言葉はもう聞き取れなかった。『健志』という名前を聞いた瞬間、返事をする事すら忘れていた。
待ち望んだ再会が、こんな形で実現するなんて……あいつもたまには役に立つじゃないか。
「おい!亮!聞いてるのか?」
「あぁ悪い……聞いてなかった」
「お前大丈夫か?だから、健志と三人でいつもの店で飲むから、八時に集合だって言ってるだろ!」
「何で三人なんだ?」
「知るか!健志が誘ってきたんだから。とにかく八時な!」
兄貴はそう言うと、また一方的に通話を遮断した。
こいつはどうしていつも勝手なんだ!
兄貴に対する苛立ちも……
やっと健志さんに会えるという喜びが、すぐに消し去ってしまっていた。
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