Another secret

接触

「亮どうしたの？その言葉？」

エリは面白くて堪らないらしく、笑いながらわたしに聞いてきた。

「あぁこれ？叶わない想いを叶える為の努力よ」

「へぇ～努力する事にしたんだ」

頷きながら、エリはそれだけで納得したみたいだ。わたしの変化を見て笑ってくれたのは彼女だけだった。
皆、困惑し無言になってしまって、その後は腫れ物に触るようにわたしに気を遣う。こうなる事は多少予測はしていたが……実際経験すると思っていた以上に厳しかった。

そんな中で、内心は驚いているのだろうか、いつも変わらずに接してくれる彼女の優しさが嬉しかった。

「それで、努力は実りそう？」

エリの興味は、わたしの変化より恋の行方に有るらしく興味津々に尋ねてくる。

「それがね……」

わたしは健志への想いを叶える為にした努力を、エリに話し始めた。

この言葉遣いに変えてから、わたしはかなりお喋りになっていた。
少しふざけているようにも相手が感じるこの口調は、わたしの本音と偽りの区別が難しい。
健志との会話に本音を織り交ぜて話せる事が、わたしの心に余裕を作っていた。