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ふらつく足を無理矢理動かして、俺は店のトイレへと倒れ込むように入った。
自分の中に芽生えつつ有る感情を認めたく無くて……ついつい酒を飲み過ぎた。
こんなに酔ったのは本当に久しぶりだ。
まいったな……
顔を水で数回洗うと、ぼやけていた頭が少しスッキリとした気がする。
しかし、心の中は先程と変わらない……
靄が掛かったまま……
そんな気持ちを洗い流したくて、俺は何度も顔を洗っていた。
「亮君大丈夫か?」
聞き覚えのある声に、俺の体は固まった。
顔を上げずとも声の主は分かっている。蛇口から流れて行く水を、ただじっと眺めている事しか俺は出来なかった。
「飲み過ぎだろ?」
再度掛けられた声に、どう答えたらいいのか?頭の中は真っ白だった。
何とか回らない頭を使い、やっと口から出た言葉は
「はい……大丈夫かな」
間抜け過ぎる。こんなキャラじゃ無い!
何言ってるんだ……俺。
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