1441人が本棚に入れています
本棚に追加
男は凍りつき、返事をできなかった。電話は最後に喋ったあとに切れており、返事をする暇はなかった。
そのことを考えると、どうやら助かったようだった。男は緊張の糸が切れ、後ろに倒れこんだ。
葬式にいかなければならないことを思い出したり、海で死んだやつが、最後に何か怒鳴っていたことを、
何らかの肯定を返してしまったのかもしれないと考えたりと、しばらく倒れこんで
考え事をして、そのうち意識が薄れて眠り込んでしまった。
聞いた内容はここで終わり。丁度授業が終わって、それでもうこの話をすることはなかった。
ひょっとしたら続きがあったかもしれない。最後の一言までに、言っていることに気付いて
返事をしなければならなかったのかも知れない。あるいはこのまま何も起こらなかったかもしれない。
何にせよ、不気味な電話には迂闊な返事をしてはいけない。何が起こるかわからないから…
最初のコメントを投稿しよう!