第二十八話

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何年か前のことです。 その頃私はS県の某所で独り暮らししていました。 S県で住んでいた部屋は、度々妙な出来事が起こる部屋でした。 変な事といっても、時々女のうめき声が聞こえたり、風呂場から ドーン! と大きい音が聞こえたり、といった大した事の無い出来事ばかりでしたが。 そんな部屋である日、部屋の蛍光灯が切れてしまいました。 あー、明日買ってくればいいか。 と、気にせずPCに向かって怪談を読み続けていき、そして時刻は深夜3時を回った頃でしょうか。 部屋の外から    ずっ ずっ ずっ ずっ と、何かを引きずるような音が聞こえてきたのです。 その音はだんだん近づいて来ているようでした。    ずっ ずっ ずっ ずっ 少しずつ少しずつ、音は近づいてきます。    ずっ ずっ ずっ ずっ その音が部屋の前に差し掛かったとき      バチバチッ!! っと切れていた蛍光灯が突然大きな音を立てて明滅したのです。    ずっ ずっ ずっ ずっ その音は部屋を通り過ぎてそのまま遠ざかっていきました。 あとで、スイッチを入れなおしてみましたがやはり蛍光灯は付きませんでした。
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