第一章 いつも変わらぬ風景

7/8
前へ
/41ページ
次へ
きつく目を瞑ったリン。だが、思ったような痛みは襲ってこない。 不思議に思い、そろそろと目をあけると目の前にいたのはあの白い(血まみれだが)猫ではなかった。 リンの目の前にいたのは、金色の毛をした四本の尾を持つ美しい猫だった。 フシューー!! 白猫は金毛の猫に飛びかかるが、サッとかわされる。また白猫はかかっていくが、それもなんなくかわされる。 そんなやりとりが続き、リンはそれに見入っていた。すると、 《何をしてるんだ!早く逃げろ!!》 頭の中に声が聞こえた、というより頭の中に響いた。 リンはハッとして、すぐに駆け出した。 リンは走った。その頭の中はパニック状態だ。 (あの白い化け物、一体何なの!?) (猫?違う…。何か嫌な感じがする…。…やだ、怖い。) (体が重い…。気持ち悪い。) (走らなきゃ……。早くここから出なきゃ。) いろんな思考がリンの脳内を渦巻く。 リンはとにかく走り続けた。 するとリンの先に光がみえた。 (やった、出口!!) 疲れきった体を精一杯動かす。 そして、一気に視界が開けた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加