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どのくらい時間がたったのだろう。
ただ、静かに対峙しているだけだった。
一方は何を考えているのか分からず相手を見続け、
もう一方は涙目でふるふると震え、半分絶望を感じていた。
「へぇ…?いいこと思いついた。」
「へっ…!?」
声に驚いて少年の顔を見たリリスは
真っ青になった。
笑顔。
笑顔なのだ。
なんかすがすがしいとさえ思う程、天使の微笑み。他の人が見ていたらきっとそう思うだろう。
そして絆される筈だ。
だが、リリスは違った。その微笑みをする人をリリスは知っていたのだ。
リリスには天使の微笑みの後ろにまがまがしいオーラを感じた。
気のせいか、背中に悪魔の羽根がみえる。
嫌な予感がした。
「ねぇ…?名前は??」
「り…リリスですけど…。」
答えなければなにかいけない気がした。
ビクつきながら答える。
「俺、今決めたんだ…。実はこれ任務でね…。この頃、魔王が人間の村を制圧しているから退治してほしいって依頼されてさ。」
「そ、そうなんですか…。って、は!?」
そんなことしていないんですが!?
「リリスはしてないんだろう?」
「あ、はい。」
でも、どうしてわかったんだろう?
「あー、それは、魔王のような威厳ないし、明らかに弱そうだし、それに一度も戦ったことなさそうだし。」
「え!?」
なんで、わかるの!?
「それはほら、読心術。」
貴方忍者ですか!?
て、ことは、今までの心の声読まれてたってこと!?
カッ、と一瞬で顔が熱くなる。
「んで、リリスじゃないとしたらその村の近くに巣くうモンスターだと思うんだ。」
「はぁ…。」
「それで、ついてきてもらいたいんだけど。」
…
はい?どこに?
「だから、そのモンスターの所に。」
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