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トボトボと歩いて少し。
「あ!見えましたよ!!」
目の前にそのモンスターの住処らしい洞窟を見つけた。
「シオンさん!!あそこですよね?」
「うん。」
彼は普通の、自然な笑顔を浮かべた。
あ
(こんな笑い方もするんだ…。)
何故かぼーっとしていた私は、
スタスタスタ…。
「!?ちょっと待って下さい!! 」
もの凄いスピードで入っていった勇者を全速力で追いかけることになった。
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いつも走っていない運動不足の私は、懸命に走って、やっとのことでシオンさんにおいついた。
「ちょ、は、速い、んですけどっ…。 」
息を整えながら言うと、彼は、
「あ、ゴメン……あの屑村人どものめんどくさい依頼さっさと終わらしたくてね。」
ピキリ、と私は固まった。
What?
…あれ?今小声で何かいいました?
あの屑村人どもとか。
聞き間違いかな?きっとそうだよね!!
無理やり納得させた私を勇者は
「大体あいつら、自分でやれよ。全滅覚悟でやれば勝てるだろ。たかがザコごときに何やってんだよ。勇者だって忙しいんだよ、コノヤロー。つーか、なんで俺がこんなことを…あの村長め…変な勘違いを… 」
壊してくれました。
ぶつぶつと言いながら、歩いていく勇者様。
体から黒い靄が。
…うん。聞き間違いではなかった。
なんでモンスターは耳がいいのかなぁ。
聞きたくなかったよ、
勇者様少し黒いだけで、優しい人だと思ってたのに…。
確実に足が重くなりながら、
いまだ黒い靄発生中の勇者を追って、歩き出した。
だって一人は怖いんだもん。
魔王はやっぱりチキンだった。
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