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それから30分後。
「ふぅ…笑いすぎてお腹痛い…。」
「そうですか。それは良かったですね。」
涙まで見える勇者に対して、私はむくれていた。
「ゴメンゴメン。あんまり俺に謝るからさ…ちょっと笑顔しただけなのに(笑)」
ちょっとでも迫力あるんですよ…貴方の笑顔は。
ぷくぅと膨らませているとシオンはくすりと笑った。
「でも、勇気をだして、モンスターに立ち向かったのは凄いと思うよ。」
「そりゃ必死でしたからね…。」
少し遠い目をする。
「必死だったとしても、頑張っただろう?努力したじゃん。多分、リリスはちょっと無理な問題が立ちはだかると、できない!とか言って諦めてたりしたんだと思うんだけど。」
「うっ…。」
鋭いシオンに苦笑いしかできない。
そう
いつも、そうだった。
どうせ、私になんかできないって考えてた。
周りに最弱魔王なんて呼ばれて…。
「えらいえらい。」
ニコニコと笑いながら頭を撫でられて赤くなる。
でもその手を払うことは、何故かできなかった。
誉められたことがなかったから、嬉しかったんだ。
「あり、がとうございます…。」
「うん。」
お礼を言うとシオンは天使みたいにきれいに笑っていた。
…あれ?
な、なんか重大なこと忘れている気が…?
「グルルル…。」
あ。
忘れてた。
ここはモンスターの巣だった。
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