勇者様は最強!?

10/12
前へ
/39ページ
次へ
…? あれ? パチッと目を開けると、見えるのは黒こげの、矢。 「ピンチの時に救われるのも、またお約束だよね!」 声のした方に顔を向けると、離れたところに勇者がいた。 当然、手が届く程ではない。 シオンは、朱い光に包まれていた。 周りに舞うのは炎。 私は息をのんだ。 それは―――魔法。 「な、なんで…」 魔法が使えるんですか、とは言えなかった。 声にならなかった。 かつて、魔法は私達、モンスターしか使えなかった。 それは、自然からの贈り物。 人間達は自然と暮らしていながら、壊す。 だから、与えられなかった。 けれど、初代魔王、雪姫は4人の人間に教えた。 四大一族―――魔王と共に災厄を退けた勇者達。 初代魔王の恩恵を受けた者たち。 何故気づかなかった。 だって彼の髪の色は、 一族の一つと同じ色じゃないか。 「…赤の一族…?」 それは、英雄と呼ばれた、一人の子孫達。 そういうと、シオンは笑った。当たりだと言っているように。 「え、ぇぇぇえ!?」 口が塞がらなかった。 シオンを指差した手は小刻みに震えている。 「人に指差しちゃだめだよ。」 「あ、すいません…じゃなくて!なんで赤の一族がいるんですか!だって森の中でひっそりと暮らしているって…!!」 四大一族は歴史が古くなると同時に迫害され始めた。 すなわち、人間の持つ力ではない、と。 「あ~。それは…。」 シオンが喋ろうとした時、後ろからモンスターがハンマーを振り上げてきた。 「っ危ない!!」 リリスが気づいて叫んだ。 が、遅かった。 ゴツン!とシオンの頭にハンマーが直撃した。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加