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サーッと顔が青くなった。
目の前には倒れている勇者。
周りには、さっきの魔法で気絶しなかったのか、ニタニタと笑うモンスター達。笑っているかはよくわからないけれど。
とにかく、
勇者やられた!?
魔王の次は勇者の危機!?これって勇者と共に魔王が成長していくって、最初にかいてあったよね!?え、勇者やられたよ!?
何、まさか、勇者が幽霊になって私にとりついて成長していく物語なのか!?
いや、確かに幽霊ってある意味最強だよ…ポルターガイスト使って、とりついて、なのに相手は触れないから…。
最強なんだけど…
でも、怖いからやだ―!!
と、拒絶反応している私。さっきのシリアスな場面はどこにいったのか。
ブンブン首を振って、嫌だ嫌だ連呼していると、むくりと勇者が起きた。突然に。
気づいたリリスが話しかけた。
「シオンさん!生きて…た、んです…ね…?」
話しかけた、のだが。
ゴゴゴゴゴゴゴ…と聞こえるぐらいに、黒い靄がブワッと出てきた。
ゆっくりと立ち上がって、目は据わっている。
勇者様は、キレていた。
「チッ…この雑魚共。こっちが説得しようと考えておとなしくしてたのにいい気になりやがって…!」
…目つきも変わってるし。
スラリと抜いたのは剣。…剣!?
「シオンさん、殺しちゃうんですか!?」と言おうとしたが、無理でした。無理ですよ。
だって怖いんだもん。
リリスは成長していなかった。
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