38人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、城ですね!!」
モンスター退治を終えて、正気に戻った勇者と共に、帰ってきた。
目の前に城が見える。
…半壊だけど。
「え…と、あれシオンさんが?」
私が確認の為に聞くと、こくん、と頷いた。
「ごめんね…。リリスの住むところなのに…めんどくさくて、壊した方が侵入するの楽かと思ってさ。」
…今、さりげなくめんどくさいって言いましたよね💧
ま、まぁ、いいか…。
勇者は、私を城に送ってから、村長に制裁…報告に向かうらしい。
…これで、お別れなんだ…。
ツキンと胸に痛みが走った。
城の前についた。
私はくるりとシオンの方に回る。
「それじゃ、お別れですね。」
笑顔で言う。
けれど、何故か、悲しくて顔をよく見なかった。
「リリス、じゃあね。」
にこりと笑って、勇者は旅立った。
…なんか、意外にあっさりだったな…。
と思いながら、城の中に入った。
私は気づかなかった。
よく見ていなかった。
シオンが、含みのある笑顔をしていたのを。
最初のコメントを投稿しよう!