君に伝えたいこと

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    携帯の着信音が、無音だった部屋に響き渡る。     俺は思わず、耳を塞いだ。 それでも鳴り続ける携帯を乱暴に掴み、壁に強く投げ付けた。     バコッ、と携帯が壁に当たる音が響くのと同時に、着信音はピタリと止んだ。     床に落ちた携帯にゆっくりと手を伸ばす。 ディスプレイを確認する。 案の定、非通知からの電話が1本入っていた。       いつからだろうか。 知らない女からのメール、電話。 そんなのはもう日常茶飯事。       街を歩けば付け回され、勝手に写真を撮られ、コンサートではマナーを守って貰えず。 この間なんかは家に監視カメラが付いていた。       吐き気がして、慌てて口を塞ぐ。 ジワリ、と目に涙が浮かんできた。    
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