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火曜日
今日の朝、お兄ちゃんからこんなメールが来たの。
「由衣、どうしよう。香澄さんが今朝から一言も口聞いてくれないんだよ。僕、何か悪いことしたのかな?」
「お兄ちゃん…ひょっとしてベッドの下見られた?」
「いや、見られてないよ。夜中あの子が寝た後にこっそり本の処分は…って、なんでそんなこと知ってんだ!」
「さあね♪でも香澄ちゃんにも話したくない時があるのかもよ。きっと夕方には話してくれるようになるって」
私はこう返信したの。それにしても香澄ちゃん、どうしたんだろうな?
夕方再びお兄ちゃんからメールが来たわ。
「由衣、助けてくれ。香澄さんまだ口聞いてくれないんだよ。どうしよう!」
「わ、わかったわ、今から行くから」
私は急いでお兄ちゃんの部屋に向かったわ。
「こんにちは、香澄ちゃん」
「……。」
「今朝から口聞いてくれないってお兄ちゃん言ってるけれど、なにか悩みでもあるの?」
「……あ、あの…」
香澄ちゃんはやっと口を開いた。
「じ、実は…わ、私…」
彼女は半泣きで私を見たわ。どうしたんだろう。深刻な悩みかしら?
「わ…私」
「?」
「…私、朝から歯が痛くてたまらないんです~っ!!でも、私歯医者は死ぬほど苦手なんです~っ!」
「………」
…結局、私が彼女を歯医者に連れて行ったわ。
ああ、やれやれ。
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