山あり谷あり

入学式が荘厳なのは始めだけ。

すると、いきなりガバッ、と掛け布団が起き上がった。

思わず後ろに引いた俺だが、もぞもぞと動いて、ひょっこっと姿を現したのは

「……弥生ちゃん……」

弥生ちゃんだった。

何故ここに？何故部屋に入れた？何故……

心の中で“何故”が反芻する中弥生ちゃんが口を開いた。

「起こしにきたんだけど、気づいたら寝てしまってた……ごめんね」

ああ、そういうことか。すごくフツーな理由に納得した。