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「・・・・これでいい」
キミヒサという男が怪我した私の足に包帯を巻き終えた。
「・・・ありがとう、ございます」
「いえ」
素直に礼を言うと、機械みたいにキミヒサは返事した。事務的な奴だ。
・・・私たちは今、病院の地下駐車場にいる。キミヒサのらしい車があり、私はそこまで抱き抱えられながら、車の助手席に座らされた。そして事務的だが丁寧に、足の治療を受けた。
「・・・足の怪我で歩けないと思えば、最初からまったく歩けないのですか」
「まったく、じゃない。杖があれば数十分は・・・遅いけど歩ける」
「そうですか」
「・・・そんな事より、何で私を保護するの?」
何気に訊ねてみた。すると、キミヒサはしばらく黙る。またしばらくして、溜め息を吐いた。
「・・・貴女がこのままだと殺されるからです」
・・・それは、だいたいわかる。
「なんで、殺されるの?逆恨み?」
「1割はそうだと思いますが、9割は別の理由」
「・・・・別?」
なにそれ。また理由を聞こうとしたら。
「僕とは別の人物が詳しく話しますから、また後で」
・・・止められた。
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