自由

2/20
12623人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
「・・・・これでいい」  キミヒサという男が怪我した私の足に包帯を巻き終えた。 「・・・ありがとう、ございます」 「いえ」  素直に礼を言うと、機械みたいにキミヒサは返事した。事務的な奴だ。  ・・・私たちは今、病院の地下駐車場にいる。キミヒサのらしい車があり、私はそこまで抱き抱えられながら、車の助手席に座らされた。そして事務的だが丁寧に、足の治療を受けた。 「・・・足の怪我で歩けないと思えば、最初からまったく歩けないのですか」 「まったく、じゃない。杖があれば数十分は・・・遅いけど歩ける」 「そうですか」 「・・・そんな事より、何で私を保護するの?」  何気に訊ねてみた。すると、キミヒサはしばらく黙る。またしばらくして、溜め息を吐いた。 「・・・貴女がこのままだと殺されるからです」  ・・・それは、だいたいわかる。 「なんで、殺されるの?逆恨み?」 「1割はそうだと思いますが、9割は別の理由」 「・・・・別?」  なにそれ。また理由を聞こうとしたら。 「僕とは別の人物が詳しく話しますから、また後で」  ・・・止められた。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!