自由

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 私はキミヒサの腕を借りながらも、杖でちょこちょこ歩いた。明らかに足取りが遅く、誰かにぶつかってもおかしくなかった。すると───。  ───どん。 「いてっ」 「わ」  案の定、誰かとぶつかってしまった。しかも、ぶつかったのはチャラチャラした不良のような男だった。 「・・・おい。なんだてめえ、人にぶつかっといてよ」 「・・・・・すみません」  謝ったからいいだろ。私は止めた足をまた動かそうとした。 「おい。待てやこら」 「・・・・・・」  なんだよ。謝ったのに。私は男を見た。 「んだよその目。痛い目見たいのかよ」 「別に」 「てめえっ。んだその態度!」 「!」  男が拳を振り上げた。殴られるとわかったが、私は逃げなかった。  ───がしっ。 「ああっ!?なんだよあんた!!」 「・・・うるさい。黙れ」  キミヒサが男の振り上げた腕を掴んだ。しかも、初めて丁寧な口調じゃなくなった。
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