12623人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
私はキミヒサの腕を借りながらも、杖でちょこちょこ歩いた。明らかに足取りが遅く、誰かにぶつかってもおかしくなかった。すると───。
───どん。
「いてっ」
「わ」
案の定、誰かとぶつかってしまった。しかも、ぶつかったのはチャラチャラした不良のような男だった。
「・・・おい。なんだてめえ、人にぶつかっといてよ」
「・・・・・すみません」
謝ったからいいだろ。私は止めた足をまた動かそうとした。
「おい。待てやこら」
「・・・・・・」
なんだよ。謝ったのに。私は男を見た。
「んだよその目。痛い目見たいのかよ」
「別に」
「てめえっ。んだその態度!」
「!」
男が拳を振り上げた。殴られるとわかったが、私は逃げなかった。
───がしっ。
「ああっ!?なんだよあんた!!」
「・・・うるさい。黙れ」
キミヒサが男の振り上げた腕を掴んだ。しかも、初めて丁寧な口調じゃなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!