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・・・キミヒサが、怖い目で男を睨む。さっきまでの事務的な態度と大違いだ。
男は「ひっ」と小さな悲鳴を上げた。
「なんだよ、あんた・・・!は、離せよ」
「だったら、さっさと失せろ」
キミヒサが男の腕を離すと、男は慌てて逃げていった。
そしてキミヒサは溜め息を吐いて、私に向き合う。
「気を付けなさい」
「!」
「外にはあのような輩がまだ腐るほどいます。僕が助けますが、貴女はなるべく周りに警戒するように」
警戒、ね。
「・・・わかった」
「それでは、参りましょう」
やはりこの男は事務的だ。事務的に仕事をし、事務的に私に接する。今さっきので少し感心したのに、やはりアレも事務的に行ったことだ。気を遣う言葉でさえ───。
・・・まあ、いい。自由は手に入ったんだから。
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