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キミヒサはわかりましたと言って、私をトイレの入り口まで連れていった。あとは当たり前だが私一人で行く。近い距離だから、十分行ける。
トイレに入り、鍵を締める。トイレの壁にはいくつかの落書きがあるが、私はそれを無視した。
無視、した。
───ねえ。さっきね、あの子が話し掛けてきた。
───え?あの子が?
───うん。なんか、遊びに混ぜてって、無愛想に。
───うわ、無愛想?いやだわ~。
───だからさ、無視してやった♪そのほうがいいわ。
───あはははは。ナイスだね~。
・・・・。
・・・・。
───ぽた。
「・・・っ・・・・ぅ・・・・」
涙が流れてきた。最初は小さな粒だったのに、だんだん大きくなって、私の顔を濡らした。
私はその場に蹲って、久し振りに泣いた。
「・・・私は・・・・私は・・・・」
───誰かも愛されてないからよ。
───無視してやった♪そのほうがいいわ。
・・・愛してくれないのはあんたらだ。無視して勝手に決め付けるな。
私は化物だ。でも、私は────。
本当は、普通に、生きたい。
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