解放

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 ───かちゃ。 「おはよう。伊緒理ちゃん。今朝はどう?」  看護師の間宮が、いつも通りの時間にやって来た。今日も薬を打たれるのか。 「・・・おはようございます。今朝は、別に」 「もう、いつも別に別にね。元気ですとか聞いたことないわ」 「じゃあ、元気です」  適当に相づちをうって、私は窓の外を見た。間宮は名前を知っているだけで、何の興味もない。 「ほら、伊緒理ちゃん。こっち向いて」 「・・・はいはい」  気が引けるが、薬を打たないとその日生きられるかもわからない体なので打つ。
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