12623人が本棚に入れています
本棚に追加
私は生まれつき病弱だ。幼稚園にも、学校にも行った事がないくらいの。何回か大きな病気にはなって死にかけているものの、今日の今日まで生きている。
「はい、伊緒理ちゃん。ちょっと痛いからねー」
毎日間宮が言うセリフ。聞き飽きた。365日、毎日薬を打っている私に言うセリフ。
間宮は慣れた手つき(慣れていなかったら困る)で、注射針を私の腕の血管に刺した。ちょっとした痛み。けど、慣れてしまっているで痒みのような痛みだ。
「・・・・はい、OK!」
「どうも」
間宮は素早く針を抜き、血を脱脂綿で押さえてテープを貼った。
「よし。今日は伊緒理ちゃん、どうするの?」
「どうする?」
「予定よ。よかったら・・・」
「外には出ませんから」
どうせ外に出ても、私の足は使い物にならないし。車椅子に乗るのも、気が引ける。
「・・・そう。じゃあ、また、ね」
ぎこちない笑みを浮かべながら、間宮は私の部屋から出ていった。
・・・いい加減、間宮も私に愛想をつく頃だろう。私を担当してきた看護師は今まで5人はいたけど、みんな私が嫌になってやめていった。
かまわない。
私は1人の方が好きだし。人間嫌いだし。
最初のコメントを投稿しよう!