11月17日。ある朝

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今日は昨日の不穏なつむじ風をもろともせず、穏やかに晴れてくれた。 深い蒼に儚げな白い筋が遠慮がちに走る。 珍しく朝に時間ができたので、洗濯物を持ってベランダに立つ。 昨日は明らかに体の具合が悪そうで「干物女」とからかう俺にもなんの反応も見せずひたすら左目を隠しつづけていたあいつはまだ起きてこない。 いや、起きているのだとは思うが。 せっかく気持ちいい朝なのに、と独りごちる。 そういえばこいつと住みはじめてから、否、こいつを飼いはじめてから、独り言が増えた。 朝の空気は人間の一日の活力源だと言ったら露骨に嫌そうな顔をしたっけ。 俺には朝なんて無い、そう言われた時はいろんな意味でショックだったものだ。 欲目もあるだろうが、俺はこの島の女の子の中でいちばん可愛いのはスナだと思っている。 くりくりした二重の瞳が愛らしくてリスのようだ。 しかしそんなこいつの一人称は「俺」もしくは「オイラ」という、なんともがっかりなものだった。 今の流行りなのだろうか、よくはわからないけれど。 でもそれを意外と似合ってるかも、とか感じ始めた俺は果たして末期なのか否か。
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