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俺は仕事の関係上朝早く、まだ星が出ているうちに起きることも多い。
一方夜はわりあい早く寝てしまうため、俺のライフスタイルの中で朝というものの存在はけっこう広い面積を占める。
ごたごた考えていたらようやく下りてきた。
あいかわらず冴えない顔をしている。
俺を見て当社比20%前後目がひらいただろうか、
「おま、しごとは……?」
「今日は午後から」
「あのふたりをほっとくつもりか」
「なに、大丈夫だろ。一応手伝いには行くし」
納得いかないような顔をしてダイニングの椅子にどかりと腰を下ろす。
目の前に置かれた朝食を機械的にむさぼり始めた。
俺はコンビニの店長をやっている。
父親が他界した後に、母親と二人で始めた店だ。
コンビニというより、このあたりにはまともな店がほとんどないから、なんでも屋のような感じである。
今日は新人と2年くらいは来ているが全くスキルの上達しない子を二人で放置してある。
母親はこの島では数少ない農作もやっているため、いつも店に呼ぶわけにはいかない。
名ばかりの副店長だ。
あの二人に任すのは初めてではなかろうか。
一抹の不安がよぎるが、いつまでも手伝っていれば自立しないから、あえて放置する。
そういや獅子の親は心を鬼にして子供を先尋の谷に突き落とす、とか言うな。
「な、な、おーおー、」
奴との会話の始まりはいつも突然だ。
「きのうな、ブロックくずしの、最高レベルクリアしたぜっ」
そういえばこの間からハマっていたな…。
携帯のアプリゲームだろう。
「へえー、すごいんだねー」
「おーおー! 棒になってる! ことばが棒だよ!」
おっぷ、スプーンが飛んできた……油断は禁物だ。
野生の動物と大して変わらないと思うことがある。
本当に20歳かどうかすら怪しいのだが、これだけはいやにはっきりと本人の口から聞いたからそうなんだろう。
なにはともあれ、やっぱりちょっと変な奴だ。
昼過ぎのお店のボロボロ具合を想像して、その次に棒読みNGを訴えるスナをみて、なんだか可笑しくなって笑ってしまった。
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