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『いょっと…』
バスで移動すること2時間…。
田舎じゃないけど、都会でもない浅ヶ谷町に到着。
東京とか大阪みたいな大都会とは違って、空気が澄んでいて凄く美味しい。
正直都会とか騒がしい所が好きじゃない俺にとって、こういう落ち着いた町で暮らす方が良い。
そういや…ここへ最後に来たのはいつだったかな。
確か婆ちゃんと最後に会ったのって小学校に上がる前だっけ。
とにかく…今は昔父さん達が住んでいた家に、荷物を置きに行かないと。
婆ちゃんの話によると、俺は普通の一軒家で一人暮らしをしなさいとか。
まっ、ちゃんと自立しろって事だな。
浅ヶ谷駅から地図通りに歩くこと10分くらいして、俺は目的地の家へと辿り着いた。
『おや、君が秋也かい?』
家の前に立っていた白髪の婆ちゃんが、俺の姿を見るなり近付いてくる。
秋也
『そうだよ。婆ちゃん、久しぶりだな。』
莢(さや)
『あれまぁ、随分大きくなったねぇ~。』
秋也
『当たり前だ。最後に会ってから何年経ってると思ってんだ。』
本当に久しぶりだ。
昔の婆ちゃんとナリは同じだが、かなり老けていた。
莢
『取り敢えずコレ。家の鍵と学園のモノ一式。』
秋也
『あぁ、ありがとう。家に上がってくか?』
莢
『残念だけど、ワタシはこれから学園に行かなきゃいけないんでね。』
秋也
『そっか、積もる話はまた今度にでもしような。』
莢
『ほっほっ、そうじゃな。それじゃ、ワタシは行くな。明日の8時半に学園の校門に来てくれよ。』
俺は「分かった」とだけ伝えて、荷物を担ぐと家の鍵を開けて中に入った。
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