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莢
『ほっほっほっ、秋也は時間にルーズなタイプだと思ったけど、意外としっかりしてるんだね。』
校門の前に立っていた婆ちゃん…
いや、学校では理事長と呼ぶべきか…
流石に公私混同はマズイよな。
校門の所に立っていた理事長がそう言葉を漏らす。
秋也
『そりゃな。マナーくらいは知ってるさ。転校ばっかしてたし。』
莢
『そかそか、なら秋也。校舎へ入ろうか。クラスメイト達が待ってるからね。』
秋也
『あぁ、分かった。…っと、先に。理事長、これから宜しくお願いします。』
婆ちゃんは「はいはい」とだけ言い、ゆっくりと俺の前を歩いていく。
その後ろ姿を見ながら俺は、柄にもなく緊張していた。
こういうのは慣れてると思ってたんだけどな…。
校舎に入ると、まずは下駄箱の場所を確認し、鞄に入れてきた上履きに履き替えて革靴を入れる。
そして職員室へ立ち寄り、担任を含めた全職員に挨拶をしていく。
これは何処へ行っても同じだったから、頭と身体がもう覚えてしまっている。
莢
『良いかい?秋也にとって、これから凄く大変だろうけど、決して辞めるとか言わないでくれな?』
水瀬(みなせ:担任)
『そうですよ。それは私からもお願いするわ。』
婆ちゃんと担任の水瀬先生から言われちゃ、何があったって絶対に辞められないな。
学費も免除して貰っている身だし。
何たって、こんな好待遇で編入できる学校なんてまず無いから。
しかし…婆ちゃんの言い方に何か引っ掛かるものを感じるが…。
まぁ、良いや。
環境が変わるせいで苦労する俺を心配してくれているんだ。
多分…
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