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職員室を出たあと、水瀬先生と婆ちゃんの三人でクラスへと向かい、とうとう俺は緊張がピークに差し掛かっていた。
水瀬
『秋也くん。凄い緊張してるみたいだね。』
秋也
『そうですね。転校とかの類いは慣れてると思ってたんですけど…。』
水瀬
『それなら一緒に深呼吸をしましょう。』
水瀬先生に促された俺は、一緒に深呼吸を3回だけやった。
これ何気に緊張が解れるわ。
スゲェ~…
と、その時…
莢
『皆さん、お早うございます。』
教室の扉を開ける婆ちゃん。
その後に水瀬先生が教室へ入り、俺は名前を呼ばれるまで廊下で待機。
莢
『昨日伝えた通りなんだけど、今日からこの学園は共学となりました。』
『そんな訳で…共学になってすぐで悪いんじゃが、ワタシの孫をこのクラスで過ごさせて欲しい。』
水瀬
『はい、秋也くん。入って良いわよ。』
ついに名前を呼ばれ、俺は何故か重い足を上手く動かして中へ入った。
…が、目に飛び込んできた光景が衝撃的で…。
クラス全員女子…
しかも今思い出したけど、さっき「今日から共学になった」って言ってたよね…。
マジで有り得ねぇ…
職員室での言葉の意味がやっと分かった。
婆ちゃんは俺が女子を避けているのを知っていた。
それは昨日の夜…
母さんから電話がきて、婆ちゃんに「女の子に対して免疫が無い」と伝えたって言ってたから。
今はそんな事よりも自己紹介しなきゃな。
秋也
『初めまして。今日から黎明学園に編入して来ました、香坂秋也(こうさかあきや)と言います。どうぞ宜しくお願いします。』
転入した時は毎回この言葉しか言わない俺。
今回もそれ以外は言うつもりは無い。
もう引っ越すことはないけど、クラス全員が俺の弱点を突く「女子」なんだからさ…。
あまり興味を持って欲しくない。
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