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莢
『因みに、秋也は親の都合で転校が続いたもんで、女の子とどう接すれば良いのか分からないみたいだから、扱いには気をつけてね。』
秋也
『ちょっ…!!何を言ってっ…。』
そう言ってはみたものの、俺の言葉はクラスメイト達の返事で掻き消される。
莢
『それじゃあワタシは戻るから、みーちゃん。あとは宜しくお願いしますね。』
水瀬
『はい、分かりました。お任せ下さい。』
莢
『秋也も、みんなと仲良く高校生活を満喫してな。』
秋也
『あ…あぁ…。』
婆ちゃんは教室を出ると、扉をそっと閉めていった。
水瀬
『という訳で、秋也くんの席はあそこの空いてる所…智紗の隣ね。』
くっ…
てっきり元々共学で男子がいると思ってたのに…。
予め婆ちゃんに確認をしておくべきだった…。
仕方ない…
頑張って異性恐怖症(?)を直してみようかな。
水瀬先生の指示通り、一つだけ空いている席へと向かう。
このクラスの女子は男を排除しようという人はいないらしく、席へ向かう途中みんなから「よろしくね」と声を掛けられている。
そんな中、指定された席に鞄を置き、俺は椅子を引いて席についた。
ただ、このクラスの女の子達とはいつか打ち解けられそうな気がする。
俺に対して全く嫌悪感とか拒絶する生徒はいなさそうだから。
智紗
『ども、隣人の朝風智紗です。ヨロシクね。』
そして隣の女の子も随分と明るい子だった。
秋也
『あっ、どうも。これから宜しくお願いします。』
智紗
『あ~…先に言っとくけど、私は他人行儀で話されるの嫌いなんだ~。だから普通にタメ口で良いよ。』
『それと私の事は智紗って呼んでね。』
何か面白い女の子だな。
今まで女の子に対しての見方が、この女の子のおかげで少しだけ変わった気がする。
秋也
『あぁ、分かった。俺も呼び捨てで構わないからさ。』
智紗
『ラジャッ!!』
何故か敬礼してるし。
しかも右手で…
まさか女の子を相手にして笑えるとは思わなかったな。
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