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僕はなんとなくバツの悪い気持ちになりながら言った。
「あの~、僕、ヤマオカですが・・・。」
すると、美女は大きな瞳をパチクリ、しかし、やだなぁ、なんて笑う。
「もー、タカちゃん。冗談ばっかり!」
「いやいや、本当に・・・。」
「タカちゃんちっとも変わらないんだもん。私、すぐ分かったよ。」
美女は僕を優しく見つめる。
その柔らかい視線!
四月の日差しより最高だ!!
・・・でも、僕はヤマオカリュウタロウだ。
「いや、あの、僕、本当にヤマオカリュウタロウなんですよ。」
「タカちゃん、それはいいって。」
クスクス笑う美女。
・・・ナンパ?
一瞬、僕の頭をよぎったが、現在の僕の服装を思い出して、その考えを否定した。
ボロトレーナーにボロジーンズ、おっさんサンダルな男を誰がナンパするか。
すると・・・。
「ひょっとして、何かの勧誘ですか?」
「勧誘?」
「宗教とか。」
「神様バンザイ!とか?ちょっとタカちゃんったらぁ。アハハ!」
美女は中途半端なノリツッコミ。
春の花より可愛かった・・・。
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