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「郁香(ユシャン)
……どうして?」
動揺したまま、彼女は尋ねる。
視線の先には、薄暗い板張りの広間がある。
広さ的に言うのなら三十畳ていどか?。
見る限り、そこは何かの道場と思われる板張りの広間だ。
そろそろ夜更けに近付く関係もあり、周囲はそこはかとなく薄暗い。
そんな……微妙な暗さのある広間の真ん中に、右手を朱に染めた十五歳程度の少女が立っていた。
少女は、足元に転がる一人の女性を軽く踏みつけ、妖艶な笑みをゆるりと作り……広間の入り口で愕然としていた彼女の問い掛けに答える。
「螺春(ロチュン)か。
――ふん。
この状態を見て『どうして?』と言う、お前のおめでたさにはついて行けないなぁ……?。
アハハハハッ!」
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