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少女――郁香は、さも滑稽と言わんばかりに大笑いする。
この姿に、彼女――螺春は瞬時に激怒した。
「ゆ、郁香……お前っ!」
刹那、螺春は闘志をむき出しにして郁香へと走り出す。
目前に横たわる女性……それを踏みつける郁香。
右手の拳は真っ赤に染まり、ポタリとしずくを垂らす。
これらが見たままの答えだと言うのなら、螺春にとって万事に値した。
広間に転がっていた女性は、二人にとって実の母親だ。
名を碧・絨香螺と言う。
(ピ・ロンシャンロ)
双子だった郁香と螺春に、自分の名前の一文字を分け、今の今まで二人を育ててくれた、大切な母親だ。
螺春にとって母への恩は無限だ。
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