第二章 螺春は日本に向かう

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 色々とお世話になり過ぎている私だが、中原さんは―― 『これで恩返しが出来た』  ――と、嬉しそうに語る。  話しによれば、中原さんは私の母から大恩を受けていたのだと言う。  もしそうならば、母との貸し借りはこれで帳消しとなり、私との借りを一つ作る事になる。  借りは返す物だ。  いつかは恩に報いる事にしよう。  そうと、心の中で思いつつ……私は日本での生活を始めた。      ◇ぴろちゅん◇  今の今まで、大した役にも立たない特技が、ここに来てたいそう役に立った。  日本語が理解出来ると言う……自分の国にいる時には無用の長物でしかない特技が、ここに来て大変重宝している。
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