第二章 螺春は日本に向かう

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 しかし、私が教えられた拳法は一子相伝……そして、母の拳を継いだのは私ではない。  しかし、今は……  結局の所……今の私は、己の流派すら名乗る事が出来ない、単なる拳法使いだ。  いや、拳法その物を捨てるべき存在だ……本来ならば。  けれど、私はまだ拳を捨てるわけには行かない。  私には、まだやらなければならない義務がある。  私は母の子として……親の敵を取らなければならなかった。  私の母は殺されたのだ……最後は無残な死に方で死んで行った。  ……今、思い出しても、涙が出る程いたましい。  私は……私は、母を殺した人物が、どうしても許せない。
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