499人が本棚に入れています
本棚に追加
/637ページ
その代わり……と言っては何だが。
「――っ! 宏和くん!」
本来、守られる役回りである筈のヒロインが大活躍する。
「よくも……よくも私の大切な宏和くんを!」
怒りが完全にオーラとして背後に出ている感じだった螺春は、飢えた野獣の様な目で重伸を見た。
「……だ、だからどうしたって言うんだよ」
重伸は、少し口ごもりつつも、威勢よく答えた。
正確に言うのなら、虚勢とでも言うべきか?。
この時の重伸は、確実に怒りで燃えていた彼女の闘志に呑まれていた。
ヘビに睨まれるカエルの如く……本能から来る無尽蔵の恐怖に、体が震撼する程の怯えを感じていたのだ。
相手は女……しかも、腕なんか自分の半分ぐらいしかないと言うのに、この恐ろしい程の殺気はなんだ?。
最初のコメントを投稿しよう!