プロローグ

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 その破壊力は、単にアッパーを出すのとは比較にならない。  バキィッ!  当天砲を喰らった螺春は、そのまま二メートル近く吹き飛んだ。  螺春は吐血したまま宙を舞うと……悲鳴すらあげる事も出来ずに気絶してしまう。  郁香の完勝であった。 「弱いな……話にならない」  起き上がる様子もなく、ピクリとも体を動かさない螺春を見て、郁香は冷ややかな視線を送って見せる。  その目は、確実に螺春への侮蔑の意志が見られた……が。  郁香の瞳に、一瞬だけ悲しみの感情が映る。  それは本当にほんの一瞬だけだ。  今の郁香は、ただただ螺春を冷たく見つめている。  冷淡に相手を見下すだけの目で螺春を見据え、郁香は無表情のまま歩き始めた。
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