第四章・僕、私の新学期

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 出来る限り平静をよそおっていた私だけど……もちろん、実際の所は平常心などではいられない。  お願いだから、まずいなんて言わないでね……。  心の中で念じる。 「あ、ありがとう」  宏和くんは、おおらかな笑みを作りながら、私の手によって渡された弁当のフタを開ける。  見た目は良い……と、思う。 「わぁ! 美味しそうだね!。  ――コレ、ホントにぴろちゃんが一人で作ったの?」  宏和くんは素直に喜んでくれた……第一段階はクリアだ。 「うん! もちろんだよ!」  私は元気に頷いて見せる。  よかったぁ……出だしから酷い顔をされたら……私、三日は寝込みそうだったから。
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