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『はい、どうぞ。』
本場のフランス料理のような出来に私は驚いた。もちろん本人は有名な料理人なのだから、そこらの料理と出来が違うのは当たり前なのだが。
「………!美味しい!」
『そう?それは良かった。ねぇ、僕から吉田さんに質問して良いかな?』
「?ふぁい、何でふか?」
『あはは、物を食べながら喋っちゃ駄目だよ。吉田さん、彼氏はいるの?』
「……!!!?ゴホッ、ゴホッ!!」
あまりに唐突な質問についむせてしまった、まさかそんな事を聞かれるとは思わなかったから。手元にあった水を流し込んで私は新藤さんに返事をした。
「いません!!」
『ふふ、やはりそうでしたか。』
「えぇ?やはりって何よ、モテなさそうって言いたいのー?」
『いえ、とんでもない。ただ、思いっきり誰かに恋をしているような目をしていなかったので。』
「恋をしている目?」
不思議な感覚だった、
恋をしている目って何だろう。
『はい、そうですね…恋愛したいと思っているというのはバレバレなんですけどね。そう思える相手に巡り会えていないように見えます。』
この時点で私は完全に新藤さんに恋をした。
唐突な事であったとはいえ、こんなに簡単に自分の事を見抜かれていると思うと、ビックリして言葉が出なかった。
「なんで分かるんですか?」
『あはは、だから目ですよ。』
彼の理論に沿うならばこの時点で私が彼に恋をしてしまっていたのはバレていただろう。
それとも自分の事に関しては鈍感なのか。
それ以降の彼の行動に全く変化は見られなかった。
「じゃあ、またお店にお邪魔しますね。」
『はい、お待ちしております。駅までご一緒しますね。』
新藤さんと夜道を歩きながら駅に向かった。
真希に早くこの事を報告したくて私はうずうずしていた。
「それじゃあここで…。今日はごちそうさまでした。本当に楽しかったです、また…。」
『はい、こちらこそ。楽しい時間をありがとうございました。お気をつけてお帰り下さい。』
家までの道のり、私は終始にやけていたのではないかと思う。
久々に転がり込んできた幸せに口元が緩んでどうしようもなかった。
【BGM Pure...EXILE】
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