-久方の-

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運ばれてきたお料理はコンパクトにまとまっていて、女性ウケしそうな美しい仕上がりだった。料理と一緒に運ばれてきた小さなバスケットの中には、焼きたてのロールパンが入っていた。 「わっ、すごーい!美味しそう。いただきまーす!」 『恐縮でございます、只今スープをお持ち致します。』 小さなお肉をフォークで口まで運んだ。本当にビックリした。美味しいとか、そんな単純な言葉では言い表せない、口の中に広がる包容感、歯応えのある中にとろけるような舌触り。 どうやら真希も同じ様な印象を受けたようだ。 『…えっ!?ヤバくない!?』 「ねっ!!超美味しいんだけど!!」 『お気に召して頂けたようで幸いでございます。』 スープを運んできた男はサラッと呟いた。 「ねぇ、シェフ?あなた御名前何とおっしゃるんですか?」 『はい?新藤 誠(しんどう まこと)と申しますが。』 『ぶっ!!』 スープをすすっていた真希が吹き出してこちらに振り向いた。 「真希汚ぁい、何してんのよー。」 『馬鹿、香織あんた知らないの?新藤 誠って言ったら超有名一流料理人よ?』 「えぇー!!そうなの!?でも確かに…納得。」 『っていうか私達、一流のランチをたった900円で食べてんのよ。』 『あははは、そんなお気になさらないで下さい。私はあくまで調理をしただけであって、お代金とは料理の内容で決まるものではありません。お客様がこのランチサービスにいくら払って頂けるかは、お客様の満足具合次第で本来お客様に決めて頂くべきものですから。』 ただのヒゲ男爵じゃないとは思ってたけど、そんなに凄い人だったんだ…。 結局私達は、その後も頬の落ちるような美味しいデザートを頂いて店を後にした。 「凄いねー、身近でこんな事って本当にあるんだね!しかも意外と新藤さんイケメンだしねっ!」 『そうね、良いところ見付けちゃったね。また来よう!』 美味しいランチを食べて気持ちもフル充電した私は午後からの仕事に精を出した。 何だかバリバリ働けて凄く気持ちが良い。 朝の占いでは運勢最悪ーって言ってたけど意外と調子良いかもー! 今週また真希とあのお店行ってみようかな。 【BGM ワンルーム・ディスコ...Perfume】
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