-久方の-

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今日もあのお店「カフェ・ミシュラン」は空いていた。全くお客さんが入っていない訳じゃないけれど、やっぱりどことなく入りづらいイメージがあるのかな? 『でさぁ、結局私こないだの子と付き合う事になっちゃったぁ、えへへ。』 「えーマジでー!?ねー新藤さん聞いてよー、真希ったらこないだ合コンで知り合った子と付き合うって言うの!本当信じらんなーい、この私を差し置いて!」 『あはは、おめでとうございます。羨ましいですね、合コンなんて行った事ありませんよ。』 「嘘だぁー?本当に?」 『えぇ、中学生から包丁しか握って来なかったもので、女性に免疫がないのですよ。』 「っても彼女も奥さんもいない訳じゃないでしょー?」 『いえ、恥ずかしながら独身でございます。特定の親しい女性もおりません。』 意外だった。 嘘をついているのかなと思ったけれども、彼には嘘をつく理由は一つもないのだから、すぐに真実だと私は確信した。 その日の仕事終わり、真希と新藤さんについて話し合った。 『ねー、あの容姿で独身で彼女いないなんてビックリだよね!』 「私嘘なんじゃないかと疑っちゃったよー。」 ここで私は、自分が新藤 誠に対して興味を抱いている事に気がついた。別に恋愛感情を抱いていた訳じゃない。ただ、確かに気にはなるかもって程で…って言い訳してもしょうがないんだけど! 『香織が付き合っちゃえば良いじゃない。』 「…な!何馬鹿言ってんのよ!あんなエリートが私みたいなの相手にする訳ないじゃない!」 『そっかなー。良いと思うんだけど。』 それから私は、一人でも「カフェ・ミシュラン」に通うようになった。 【BGM YOU~あなたがそばにいる幸せ~...HOME MADE 家族】
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