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小学からの親友の由梨が大声で笑う。
学校の門から出た坂の途中で。
「人の不幸を笑うなんて…」
「だってぇ!マンガだよアンタ!あははははっ」
「…親友だと思ってたのに」
涙目になりながら、隣で腹を抱えて笑う親友を恨めしそうに見る。
「親友だからでしょ?他人に大爆笑されたあの瞬間よりは心痛まなくなーい?」
彼女の言うあの瞬間とは、うすらハゲをバーコードで固めた古田の数学の時間。
お腹もいっぱいでぽかぽか陽気の降り注ぐ窓側一列目二番目の席で熟睡した私は
こう叫んで起きたらしい。
「ぬぁあんだって言うのよー!!!!!!」
クラス内は始め、バーコード古田のかったるい授業に対する宣戦布告だと思ったそうだが、よくよく見れば頬に机のあとがバッチリ、頭もボサボサ。
一瞬の沈黙の後に大爆笑が起こったと言う訳だ。
「だからってそこまで笑う?ほんと恥ずかしくて死ぬかと思ったよ…」
今でも間に合うと信じて、穴があったら入りたい気分だ。
…それにしても。
その元凶となった夢をまだ鮮明に覚えている。
そう、坂を下りきったあの道で、夢の中の私は叫んだんだ。…うっかり現実でも叫んじゃったけど。
「ったく。迷惑な夢だわ」
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