17人が本棚に入れています
本棚に追加
夢の中であそこに立っていた、変に特徴のある黒と金の小学生と不気味紳士に向かって言う気分でそう呟いた。
「え?」
由梨が不思議そうな目を向けてから、たった今自分に起こった不可思議な現象を自覚する。
「あ、あれ?あのねさっき見た の話だよ」
「ねぇ……『 』ってなぁに?」
「…え?」
口を動かすだけで、聞こえないその名詞。
おかしいな。耳がおかしくなっちゃったのかな。
「 は… だよ!?寝てる時に見る 。将来の 、とか!」
やっぱり声が出なくて戸惑う春風を横目に、そんなことは全く気にしてない様子で由梨は笑う。
「何それ?なんかの漫画の話?」
…どういうこと?
ふっと、夢で見た銀髪の少年の言葉が甦る。
――夢は皆、僕のモノだ!!!――
まさか……。
「あんまり授業妨害したら内申に響いちゃうよ!
じゃあ、また明日ね」
気付けば坂を下りきって、分岐路に来ていた。
由梨は右に曲がる。
私は真っ直ぐ行く。
「うん…バイバイ」
納得のいかないまま離れてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!