2.夢…ユメ

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    今のは…一体何だったんだろう… 「…ゆ……め。 ユメ…ちゃんと言えてる」 由梨と居るときには言えなかった言葉を、一人で口にしてみる。 今はすんなりと出てくるのが逆に気味が悪い。 妙な胸騒ぎがする。 私が夢の話をしてから、何かが二人の間でズレたような……感覚。 ――気を付けて。物語が奪われない様に―― 黒髪の少年はそう言っていた。 物語って? 黒髪の少年の言う物語とは夢なんだろうか。 ああ、もうよく分かんない! きっとこれは何かの間違いよ。 私が見たのはただの夢。 さっきのはたまたま…たまたま、喋れなくなっただけ…? きっと、そうなのよ。 春風は家路を急いだ。 夢とそっくりな、真っ赤な夕焼けを背にしながら…。
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