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今のは…一体何だったんだろう…
「…ゆ……め。
ユメ…ちゃんと言えてる」
由梨と居るときには言えなかった言葉を、一人で口にしてみる。
今はすんなりと出てくるのが逆に気味が悪い。
妙な胸騒ぎがする。
私が夢の話をしてから、何かが二人の間でズレたような……感覚。
――気を付けて。物語が奪われない様に――
黒髪の少年はそう言っていた。
物語って?
黒髪の少年の言う物語とは夢なんだろうか。
ああ、もうよく分かんない!
きっとこれは何かの間違いよ。
私が見たのはただの夢。
さっきのはたまたま…たまたま、喋れなくなっただけ…?
きっと、そうなのよ。
春風は家路を急いだ。
夢とそっくりな、真っ赤な夕焼けを背にしながら…。
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