マリア

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「じゃあ、行こうね」 「え?どこに?」 「私が住んでいる家に決まってるでしょ。君も一緒に住むんだからね」 落ち込んでいる僕を気にせず、彼女はどんどん話を進めていった。 「ほら、立って。自分で歩くのよ」 「いいよ、僕のことはほっといてくれよ」 そういうと、彼女は呆れたようにため息をついた。 「あのねぇ、あなた子供じゃないんでしょ?つまんない意地張ってないでついてきてくれない?だいたい君一人でどうやって生きていくつもり?」 彼女の強い口調に僕は何も言えなかった。 彼女はまたため息をつくと、黙って僕の腕をつかみ、歩き出した。僕も何も言わずついていった。 しばらく歩くと、ずっと向こうに大きな家が見えてきた。近づくにつれて、その家はどんどん大きくなる。その家は木で造られていることがわかり、その家につくと、その大きさをあらためて実感できた。 「大きいでしょう?さぁ、入って」 扉をくぐると、何だか花のいい香りがした。 「何ですか、これ?花?」 気がつくと、とっさに質問していた。 「これ?これはツクモカゼっていって、エルフの森にしか咲かない花よ」 「エルフ?」 「あぁ、そうね。まだ説明してなかったわね。ちょっとこっち来て」 そういうと、彼女はテーブルに古い大きな紙を広げた。どうやら地図のようだ。 「いい?簡単に説明するわね。ここが今私たちがいるところ。ファンタジアでもずっと南の方。それで、ファンタジアの北にあるのがエルフの森よ」 「エルフってあのエルフですか?」 「そうよ」 何だか、急にテンションが上がってきた。エルフなんて本当にいたんだ。 「そして、エルフの森の東にあるのがフェアリーの街よ」 「フェアリー?妖精もいるんですか?」 「まあね。どう?楽しめそう?」 「多分・・・」 この時僕は、大事なことに気付いていなかった。今気付いていれば、このずっと先、楽に進めたはずなのに・・・。 「そういえば名前、まだ聞いてませんでしたね」 「え?私の?」 「他に誰が?」 「それもそうね。私はマリア」綺麗な笑顔だった。「サンタ・マリアよ」
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