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コンコン、と扉を叩く音がした。
「浩二君、出てくれない?」
「なんで僕が?」
「いいから。エルフかもよ?」
「ホントに?」
僕は扉を開けた。しかし、そこには誰も立っていなかった。
「マリアさん、誰もいませんけど?」
「ここだよ」
「え?」
下を見ると、背丈が僕の腰くらいしかない男の子が立っていた。
「君がエルフ?」
「そうだよ。あなたは……人間?」
僕は黙ってうなずく。
「僕はエルフ族のエアっていうんだ。よろしくね」
「あ、うん。よろしく…。僕は内山浩二」
「やっぱり人間の名前って変だね」
と、エアは笑って言った。僕にしてみればエアって名前も変だけど…。
「あら、いらっしゃい。久しぶりね。今日は何かしら?」
部屋の奥からマリアさんがでてきた。
「こんにちは、マリアさん。今日は薬草を作って欲しいんです」
「いいわよ」
「これでお願いします」
「ナヅキソウだから…、体力回復でいいのね?」
そういうと、マリアさんはその草を両手でしっかり握った。すると、マリアの手が青く光り、薬草が完成していた。
「ありがとうございます。これでティラさんがいつ帰って来ても安心です」
と、子供らしい顔でエアは笑った。
「それじゃぁ、マリアさん、浩二さん、さようなら」
エアが元気よく走っていく姿が窓から見えた。
僕はマリアさんのほうを向く。
「あの、今の子がエルフですか?」
さっき確認したことをもう一度確かめる。
「そうよ」
答えは同じ。当たり前か…。
「エルフってあんなに小さいもんなんですか?」
「そうね、エルフも元々は妖精だからね。大人のエルフもエアくらいの身長よ」
やっぱりこの国はすごいな。おとぎ話の国みたいだ。
「さぁ、もう寝ましょう」
「え?だってまだ昼ですよ?」
「見かけはね。だってファンタジアには夜がこないんだもの」
なんだそれは……?
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