メイキュウ

2/9
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
      現実世界――     「……なんや、こりゃ入るのは無理そうやな……」     学校の前の電信柱の上に、ニット帽をかぶった少年の姿。   手には大きなギターケースを持っている。     「仕方ないなぁ……」     少年はうかない顔をしながら携帯電話を取り出す。     「もしも~し?こちら1869や。 何かこっちハズレっぽいで? ………ってもしもし?」       長い沈黙。 受話器の向こうからは物音一つ聞こえない。     「………ちっ。罠かぁ。 やってくれるで、ほんま………」     すると通話を切り、どこかにかけなおす。     「………あっ、こちら1869や。こっちは多分ハズレ。 B-ポイントのが当たりやったみたいやけど、もうおらへんやろ。   ……うん、……向こうはもう遅いなぁ。 多分ダメやろ。 ……うんわかった。後で合流するんやな? オケ、了解や。」 ピッ   すると少年は電話を切り、   「しゃあないな……」     屋根から屋根へ、ジャンプしながらどこかへ移動していく………               そのころ薫達がいる仮想現実空間では――       「異端者ねぇ……」     つまりは、俺もその『異端者』なわけだ。     何か漠然としすぎていて、現実感がない。     …………俺の頭が悪いだけか?     「うん。この『異端』とゆう存在。 比較的稀なんだけど、その人が生まれながらに持ってる素質。 才能でもいいな。 が、ある理由で覚醒する事により『異端』が生まれる。   覚醒する時期は人によって様々。 生まれた瞬間に覚醒する者もいれば、死ぬ直前に覚醒する者もいる。   で、問題は覚醒した後なんだ。 うまく身体の変化に適合出来なければ………」     アルエが自分の頭を指でつつく。     「ここがおかしくなる。」     「そ、そしたらそいつらはどうなんだよ………」     それはまるで、映画の続きが気になるような気持ち。   つまりワクワクしてた。 やっぱ俺、思考パターンがおかしくなってやがる。 …………ハァ。     「大抵は奴らに始末されるね。」     「奴ら?誰だよそれ?」  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!