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現実世界――
「……なんや、こりゃ入るのは無理そうやな……」
学校の前の電信柱の上に、ニット帽をかぶった少年の姿。
手には大きなギターケースを持っている。
「仕方ないなぁ……」
少年はうかない顔をしながら携帯電話を取り出す。
「もしも~し?こちら1869や。
何かこっちハズレっぽいで?
………ってもしもし?」
長い沈黙。
受話器の向こうからは物音一つ聞こえない。
「………ちっ。罠かぁ。
やってくれるで、ほんま………」
すると通話を切り、どこかにかけなおす。
「………あっ、こちら1869や。こっちは多分ハズレ。
B-ポイントのが当たりやったみたいやけど、もうおらへんやろ。
……うん、……向こうはもう遅いなぁ。
多分ダメやろ。
……うんわかった。後で合流するんやな?
オケ、了解や。」
ピッ
すると少年は電話を切り、
「しゃあないな……」
屋根から屋根へ、ジャンプしながらどこかへ移動していく………
そのころ薫達がいる仮想現実空間では――
「異端者ねぇ……」
つまりは、俺もその『異端者』なわけだ。
何か漠然としすぎていて、現実感がない。
…………俺の頭が悪いだけか?
「うん。この『異端』とゆう存在。
比較的稀なんだけど、その人が生まれながらに持ってる素質。
才能でもいいな。
が、ある理由で覚醒する事により『異端』が生まれる。
覚醒する時期は人によって様々。
生まれた瞬間に覚醒する者もいれば、死ぬ直前に覚醒する者もいる。
で、問題は覚醒した後なんだ。
うまく身体の変化に適合出来なければ………」
アルエが自分の頭を指でつつく。
「ここがおかしくなる。」
「そ、そしたらそいつらはどうなんだよ………」
それはまるで、映画の続きが気になるような気持ち。
つまりワクワクしてた。
やっぱ俺、思考パターンがおかしくなってやがる。
…………ハァ。
「大抵は奴らに始末されるね。」
「奴ら?誰だよそれ?」
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