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「悠っ…ごめんなさい!何で…きれぇな…お姉…さんと…いる…の?」
抱き着いた瞬間、急に涙が溢れてきて上手く喋れない。
「えっと……僕は悠じゃない…よ?僕は」
「馬鹿野郎!」
悠じゃないと言われて動揺し、私はその人から離れようとしたら罵声が聞こえたと同時に、
今度は私が後ろから抱きしめられた。
「馬鹿野郎……こっちが悠だ。沙由。」
本物の悠の声は優しい。
悠の顔は見えないけど、本物ってわかる。
悠の匂い…悠の声…悠の手…悠の温もり…。
全てが私の大好きな悠のものだから。
「ううっ…悠…ごめん…。私を許して……嫌わ…ないでぇ…。」
一度私を抱きしめる悠の手を解いて、方向転換をしてから悠に正面から抱き着いた。
「何言ってんだ…?多分、沙由は誤解もしてるだろうし…俺の話すこと、聞いてくれる?」
聞かないわけがない。
私はしゃくり上げていて、上手く声が出せないから、小さく頷いた。
小さな期待と、大きな不安を抱えながら…
「まず…俺もごめん。光一とか海斗に嫉妬してて…あんなこと言ってしまったんだ。
すぐに謝ろうと思ったんだけど、嫌われたって思うとなかなか言えなくて……ホント…ごめんな。」
悠は私をギュッと抱きしめてくれる。
私は安心して…更に涙が溢れてくる。
もう…この先生の温もりだけでも十分に伝わる。
悠はさらに言葉にしてくれたけど……
悠は私のことを好きでいてくれてる。
それから、私と同じだったんだ。悠も。
嫌われたかもしれない…と思うと謝れなかったんだ。
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