★*夏祭り*★

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涙が邪魔して声の出せない私は、ただ何度も頷く。 「それから…さっき沙由が間違えて抱き着いたのは、俺の兄貴の奏(ソウ)。あと、綺麗なお姉さんって言ってたのは妹の真奈美。前に電話しただろ? 俺が目移りするわけないだろ?沙由だけだって…。何回言わすの?(笑)」 こんなこと言われて…私の涙は留まるところを知らない。 『沙由だけ』…それだけで十分すぎる。 「ごめんっ…な…さい。ありがと……うれし…。」 言いたいことは山ほどあるのに、とぎれとぎれになってしまう。 「沙由…落ち着いてから、話して?」 先生は私を抱きしめながら、私が泣き止むまで頭を撫でてくれていた。 ――――――――― ――――― 「ごめん…泣きすぎたね。」 やっと涙が止まって落ち着いた私は悠から離れて悠の顔を見た。 悠はにっこり笑っている。 「えっと…あのときはホントにごめんなさい。私、加奈に妬いてたの。 すぐに自分が馬鹿だったって気付いたんだけど…私も嫌われたと思って謝れなくて…。 よかった…悠に嫌われてなくて。大好きだから!」 私はそのとき悠を見上げて、初めて気付いた。悠が浴衣を着ていることに…。 なんで気付かなかったんだろ…ありえない! てか…かっこよすぎる! 私がしばらく先生に見とれていると、先生に苦笑いされた。 「何?誘ってるの?」 悠はニヤリと笑って言うと、クイッと私の顎を持ち上げ、顔を近付けてくる。 「違っ!見とれて…っ…。」 否定する私を無視して、悠は唇を重ねてきた。 触れるだけの軽いキスなのに、私はドキドキしすぎて…… 「…うっ…。」 腰が抜けて、フラッとしちゃった…。
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