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ガタンゴトンと列車の走る音がする。
ふと窓に目をやると街の風景がこれに乗ってからガラリと変わっていた。
俺…《柊 夏輝(ひいらぎ なつき)》がこいつに乗ったのが日本の首都の東京駅。
そして乗ってから3時間近く経った今、俺がどこにいるかは知らないが奥の方には山が広がり、所々ぽつんと家やビニールハウスが立っている。
その他は田圃(たんぼ)なのか、それとも他のモノかは知らないが緑が一面に広がっていた。
そして何度目かのトンネルに入る。
その度に耳がキーンとなったり、ポーっとなったりする。
いい加減イライラしてくる。
そしてその度に耳を押さえたり、軽く唾を飲んだりする。
そうすればすぐに治る。今度はボーっとなったので軽く唾を飲んでそれを治した。
そしてもう一度窓に目をやる。
まだトンネル内だったからか、外の景色は真っ黒だ。
小さい頃、トンネルの中の世界は無限に広がっているものだと信じ込んでいた俺はその世界がどうなっているのだろうと思っていた。今に思えばバカバカしいことだけどな。
そしてずっと真っ暗な外を見ていると窓ガラスが鏡の役割をして反対側の世界を映す。もちろん俺も例外じゃない。
窓ガラスには俺が映っていた。
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