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さてと、そろそろふざけるのも終いにしようか。
ハッキリ言っちまえば俺は新聞部に入るつもりはない。むしろ俺はこのメンバーとは関わりたくはない。
ここでこいつらと関わってしまえばどこか……もう俺が『今の俺』でいなくなってしまう……そんな感じがしたからだ。
さっきまで入り口を抑えていた榊さんも今はケーキに夢中だ。今がチャンスだ。
だからこの際ハッキリ言ってしまおう。
「……悪いが断らせてもらう」
「……………………」
俺がそう言った瞬間、誰もが信じられなかったからなのか、急にみんな黙ってしまった。
平田さんはジッと俺を見つめていた視線を少し下げ、机に描かれている木目を見つめていた。
俺の背後にいる女子、その一番うるさかった奴も何も言わなかった。
そしてさっきまでケーキを食べていた榊さん。彼女も動かしていた手を止めた。
唯一、俺を見ていたのは榊さんだったが……。
☆
「……悪いが断らせてもらう」
柊って人がそう言った瞬間、ケーキに気を取られていた私は思わず手を止めてしまった。
でもどうしてなんだろう?
その言葉に対して驚きよりも先に感じたものがあった。あぁ、やっぱりこの人は断るんだなって。
どこか最初からこの人が首を縦に振らない……そんな気がしていた。
ううん、わかってたのかもしれない。
柊って人の目からは冷たいものが感じられたから……。
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